モラトリアムが終わる

来週の月曜日にはオンラインで授業が始まってしまう。待ちわびた大学開始ではあるのだけれど、あまりにも長かった春休みの終わりを惜しむ気持ちもある。

家から出ずに自室に篭り、なんとなく自分のことを考えて過ごしていた。かつて書いた文章を整理してデータベース化したり、以前吹き込んだボイスメモを文字に起こしたり。「たすけて、だいじょうぶ、だいじょうぶ、まだだいじょうぶ」と何度も自分に言い聞かせる悲痛さを過去において、冬の季節を通り過ぎてきたのだと実感する日々だった。

中学生・高校生というのは、おそろしいほどに逃げ場を持たない6年間であると感じる。どこにも逃げる先などないのだと何度も噛み締め、降りられない電車の中微睡に逃げていた。池袋の駅前で補導されかけたこともあるし、ショッピングモールのトイレで吐いていたこともあった。

もうすぐ20を迎える。歳を重ねるということは逃げる手段が増えるということだ。モラトリアムが終わっても生きていける、そう確信することだ。