桜散る 桜散る ひらひら舞う文字が綺麗
「今ならまだやり直せるよ」が風に舞うクリープハイプ『栞』
大学に入ってからもう何度目の桜か。2019年入学、2020年にも入学。私はまだまだ大学を卒業していない。
母も恋人も、私の学年を人に説明するのが難しく適当に話しているらしい。そんなことを聞くたびに少し傷つく。「普通の人と同じこと」がずっとしたかった。今でもぼんやりとした劣等感に苛まれる。
やり直せることなんてないのだな、と思う。時間は流れてもう戻ってこない。かつてできなかった何かを達成したとして、それはやり直せたことにはならない。失敗の歴史は塗り替えられない。傷はいつまでも傷のまま、皮膚の地層の奥に埋めて暮らしていくしかない。重ねた年輪でいずれ傷は遠くなる。
劣等も葛藤も皆持っていて、それでも自分のそれがいちばんつらいのだと感じるのが人間らしさなんだろう。
舞い落ちる花びらを捕まえようとして、軽いそれは手の動きによって起こった風に乗って逃げてしまった。芥川龍之介の「火花」を思い出した。『ある阿呆の一生』の一節。それだけが欲しかったのだと、思ってしまうようなもの。手に入らないものは諦められない。
23卒のはずがいつしか25卒になってしまった。受け止めていて、笑い飛ばせるようなことで、恥ずかしくて、つらくて、今年の桜は少し恨めしかった。
千鳥ヶ淵の桜の下、唇を噛んでじっと新入社員を見つめる女がいたらきっと私です。
今週のお題「お花見」