誰かに繋がりたくて誰にも繋がりたくない

みたいなアンビバレンスをずっと抱えている。

誰かを求めることは
即ち傷つくことだった

宇多田ヒカル『one last kiss』

2ヶ月前、すごく好きな人ができて、お酒の流れでキスして、曖昧に付き合って、多分飽きられた。体温が高くて、声が優しくて、癖っ毛が可愛い人だった。そういうありふれた話の主人公になんて久しくなっていなかった。心が根っこから引き抜かれて土を振り落とされてしまったみたいに、いまは少し寒い。

寒くて、他の男の人と会おうと思って、会っては何か違うと戸惑った。求める人はこの人じゃない、ってきっと距離を取ったのは私の方なのに、相手から求められないとまた傷ついた。勝手な話だ。

私にはきちんと大地に張れる根っこがない。大樹みたいな立派なやつじゃなく、ぺんぺん草みたいなひょろっとした根っこしかない。だから簡単に倒れてしまう。土が流れれば立っていることさえ覚束なくなる。
愛されたくて、認めて欲しいはずなのに、わたしのダメなところを一つも知られたくない。隠してしまう。それとも、隠すほどのわたしさえ、もともとないのかもしれない。

体だけの関係は楽だった。端から愛されることなんて望まないから、失望しない。どんなところを見られたって、どうせ体だけ。相手のために変わる必要もなければ、相手に好かれる努力もしなくて良い。

でも誰かときちんと繋がりたくて、体だけじゃない関係を求めてしまう。ぼろぼろになるだけなのに。

One Last Kiss

One Last Kiss