怪獣

「さあさあ 怪獣にならなくちゃ
等身大じゃ 殺されちゃう」


3年前の私は、垢抜けず真面目で、けれど明るかった。子犬のように歳上に懐いた。可愛い後輩だったと思う。不器用な恋愛もしていた。自分を特別だと思っている、弱い男の子だった。彼も私も、わたしのことは大事じゃなくて、最後には私はバッグの隅のハンカチみたいにくしゃくしゃになって地面に落ちてしまった。

遊んでそう、と言われるようになったのはいつだったか覚えていない。

昔は大事にされる女の子になりたいなと思っていた。花みたいに笑って誰にでも優しくて、誰からも愛される絵本の主人公みたいな女の子。今は何になりたいのかよくわからない。

男の人と寝るのは好きだ。自分の輪郭がぼやけて、私がわたしであることをやめられる時間。けれどいつも少し疲れる。ピンセットで摘んだ分銅をひとつずつ乗せられていって、やがてソファに座り込む。

タトゥーを入れて、耳に穴を開けて、てきとうな男のひとと寝て、わたしの何もかもを壊してめちゃくちゃにして、私は怪獣になりたい。

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