セクシーを感じる瞬間。平たく言えば「どえっちじゃん」と息を呑む瞬間がある。髪から滴るしずくであったり、なだらかな体の輪郭であったり、動作と共に形を変える筋肉のしなやかさであったり、微笑む時左右でほんの少し高さの違う口角であったり、感じるポイントは人によって違う。
わたしがそういう種類のときめきを感じる瞬間に、夜の匂いというものがある。
普段、襟付きのシャツを着込んで生徒にまじめくさった顔で英語を教えている人が、深夜の駅のホームで疲れた顔をしてボタンを一つ開ける姿にどきりとしたことがある。昼の光とは対照的な、夜の匂い、ちょっとした隙。それにどうしようもなく脳髄が酩酊した。結局、わたしは彼と一晩を過ごしてしまった。
日常というストーリーがあるからこそ、セックスが特別になる。いつもと違うという特別感がセックスを楽しくするのだなぁ、としみじみと思う。
という話と、少し関係のあるシチュエーションCDのレポ。性的な表現があるのでシチュエーションCDに馴染みがない人は注意して欲しい。
声は土門熱プロ。
新米ライターのヒロインが、セックスに関する特集を組むにあたって、様々な体位を知るために土門熱さん演じる彼と行為を重ねるというストーリー。彼とは知り合いではあるけれど交際しているわけではない。上司を介して紹介されたらしい。
CDは彼がヒロインの上司に打診されているシーンから始まる。この1トラックを入れた脚本家さんのことは天才だと思っている。彼、上司と男同士で話しているときと、このあとセックスをする相手であるヒロインと話すときで、声の質が全く違うのだ。
声優さんってすごいね...
男同士で話しているとき、それから特典トラックなんかでヒロインに対してくだけた喋り方をしているときはわりとざらっとした雑な喋り方をするのだけれど、セックス前、料理屋で話すときはしっとり雄を示すように喋る。この差がたまらない。
たった1トラックで「日常」と「非日常」をくっきりと際立たせた構成に思わず天を仰いだ。
とにかくどえろいCDで満足だけれども、SEがマヨネーズに似ているのはちょっとどうにかしてほしい。