はみだしもの

1年遅れの入学式へ行った。みんな、たくさんの集団に分かれて大きな声で喋っていた。わたしはそっと人混みをすり抜けて、1人できていた女の子をナンパし連れ立って会場に入った。彼女はサークルに所属しているらしかった。わたしは所属する場所をひとつも持っていなかった。

父親が心臓疾患を抱えているから、去年はサークルは言わずもがな、バイトすらも出かけていなかった(オンラインで家庭教師をしていた)。友人と会ったのも片手で足りるほど。とにかくウィルスを拾ってこないことを徹底していた。自分の部屋の白い壁ばかりに囲まれていた。友人は増えなかったし、むしろ気軽に会えない分連絡を取れる人は減った。

今年も、わたしは基本的に外食をしないつもりでいる。昼ごはんはおにぎりかなにかを買って屋外で済ませればいいし、一昨年もよく勉強の合間に図書館に設置された休憩室で黙食をしていたからそういう食事には慣れている。古い友人に誘われれば断らないが、店は最大限気をつかって選ぶ。サークルの会食なんて行けるはずもない。

今年、どうやって人付き合いをしていくのか、ひとつも想像ができない。大学でまで、はみだしものでいる、そんな気がしている。

アイドル、偶像

ここ最近、自分の中で、アイドルを整理し再定義する作業をしていた。思春期からこちらKPOPを追っている。

アイドルはしばしばSNSで非難の的となる。私の覚えているところの最近では、コロナ禍でクラブに行っただとか、友人とのLINEが流出しただとか。恋人が匂わせをした、メンバーの陰口を言っている裏垢が見つかった。
目にするたびに、1度深呼吸をしてから自分に問う。わたしが責めるべきこと?

思春期のファンは、仕方がないとは思う。思春期、好きなアイドルに理想の異性・同性としての姿を見つけ出すのはままあることで、人格の形成途中に、見つけた理想像に気持ちが過熱してしまうのはままあることだ。

けれど、わたしはもう大人の枠に入るのでそうは言っていられない。

そうして考えてみれば、いつからか、わたしにとってのアイドルは徐々に変容していた。それは経た年のおかげかもしれないし、好きなアイドルが少年期を通り過ぎたからなのかもしれない。今、アイドルとはわたしにとってアーティストの1種類であり、歌声とダンス、表情などすべてを用いてパフォーマンスを行う表現者だ。なんらかの醜聞が出たら、寂しくは思うだろうけれど、それだけ。その人の行いに耐えきれなかったらファンでいることをやめるだろう。それだけだ。

理想を投影して、それが為されなかったことに傷つくのは、ファンのエゴなんだろう。

そしてひとつの面で責められるべき行いをしたからと言って、その人の美徳がすべて帳消しにされるわけじゃない。
わたしはフェミニストだけれど、男尊女卑的な発言をするところを除いて母を愛しているし、たまに陰謀論に傾こうとするところを除いて父を愛している。目の前で吸うことのないタバコに執拗に文句を言ってくるところを除いて、兄を愛している。

人は完璧である必要なんてない。アイドルも然りだ。原爆Tシャツを着ていたことに悲しく思っても、好きなままでいい。ひとつの醜聞があっても、反省を信じていい。ひとつの裏が見えたとしても、好きだったアイドルのすべてが嘘になったわけではない。

勝手に信じて裏切られた失望を、アイドルに手渡したい気持ちは、ひどくよくわかる。けれど、その手はそっとおろしたほうがいい。誰もわたしの理想にはなれない。誰もあなたの理想にはなれない。相手は人間だから。



昔のSeventeenの動画を観る。今よりも華奢で、変わらず溌剌とした少年たち。あのときはあんなにもかっこいい年上に見えたのに、今観るとその肩はいやに頼りなくて、わたしはいったい彼らになにを求めたのだろうと、彼らからなにを奪ったのだろうと、そう考えた。

今週のお題「大人になったなと感じるとき」

Pretty U

Pretty U

最近

最近は、なんだか色々と大変だった。

雛市

雛市

  • 女王蜂
  • ロック
  • ¥255


凝り固まった価値観が毎日に弊害をもたらすのはいつものことで、中高で叩き込まれた「賢くあらねば」「強くあらねば」みたいなプライドと、ほんものの疲れ切った私との間の摩擦でいっそう疲れてしまった。強くあらねば、とはずっと思っているし、実際心を挽いて潰して粉にして実現してきた。けれど、少しガタがきた。

カウンセリングに通っている。ADHDではないか、という話になって、並行して精神科にも赴いた。しばらく先に検査の予定がはいった。
ADHDだったとしても私は何も変わらないし、自己の認識にも影響しないけれど、いろんな弊害が改善されるのならいいと思う。まあ診断がおりるかはわからないのだけれど。あと薬が高そうで厳しい。

久しぶりの友人にも会った。目的のない休日は楽しくて虚しかった。


一人、部屋で考え事をしていると、自己の歪みみたいなものがよく見えて、面白い半分どうしようもない虚脱感がある。生きづらそうね、と他人ごとのように思う。

強く 強く 生きていかなきゃ
世の中が優しい日は ひとつもなかった
『雛市』

ホヤと日本酒に合う音楽5選

兄が、お世話になっている人にいただいたので、今日は初めてホヤをつまみに食べた。これもお世話になっている人からいただいた辛口の日本酒を紙コップに、指先でつまむホヤは美味しかった。味は牡蠣に似ているし、食感はホタテに似ている。幸い、実物を知ったのは食べた後だったので、見た目の微妙さにドン引きすることもなく、ホヤは無事わたしのなかで「美味しいもの」カテゴリーに収まった。

でも、いつもいつも一緒に食べる・飲む人がいるとは限らないので、いつかあるだろう一人飲み用に、ホヤと日本酒に合いそうな音楽を今から考えておくことにした。

泣くかもしれない/下田逸郎

泣くかもしれない

泣くかもしれない

ホヤの味は結構濃いので、曲はこのぐらいスロウで優しいのもいいかもしれない。ソファにもたれ、ぼんやりと1日を振り返りながら、ときには昔に失った人を思いながら、酒とホヤ。

Help me out / maroon5

ヘルプ・ミー・アウト

ヘルプ・ミー・アウト

日本酒とチーズ、ワインとするめ的な感じで、ホヤとmaroon 5。ありだと思う。ホヤの隣に、燻製チーズなんかを添えてもいいかもしれない。お洒落な食卓でも食べられる組み合わせ。夜は早いうちの方が似合う、8〜9時ぐらい。

そのまま/松任谷由美

そのまま

そのまま

「あなたの好きなものはひとつ残らず言えるわ」と口ずさみながら、ホヤ。

深夜高速/フラワーカンパニーズ

深夜高速

深夜高速

お洒落系統から一点、泥臭く進む曲とホヤ。がんばり疲れたときには、日本酒の突き抜ける辛みとホヤの濃い味に泣いてしまうかもしれない。

crazy/DOPING PANDA

Crazy

Crazy

ホヤを食べて明日も頑張りたい時に。ポップで洒脱だけどお洒落すぎないのでホヤに合う。


こうしてみると、ほぼただの私の好みだった。

いつだって聴ける音楽

2ヶ月くらい前、CDを買った。業者を通して買ったので、リリースから手元に届くまでかなり時間がかかった。『in a dream』。バイ、トロイ・シヴァン。

恋の幸福はどこへやら、なんとなく寂しさや孤独を感じるアルバムだった。なんとか走ってきた人が、ふと足を止めて後ろを振り返るような。

Put my shoes on and run away
But you still show up in a dream
『in a dream』

IN A DREAM

IN A DREAM

  • トロイ・シヴァン
  • ポップ
  • ¥255

僕は靴を履いて逃げ出す
でも君はまだ夢に現れるんだ

What's left of the dance?
The smell on my hands
The rock in my throat, a hair on my coat
The stranger at home, my darling
『Easy』

ダンスが
残したものはなんだっけ
僕の手に残った匂い
僕の喉の中の石、コートについた髪の毛
家にいる知らない人、ダーリン


Easy

Easy

  • トロイ・シヴァン
  • ポップ
  • ¥407



troyeの曲はいつも特別だ。彼独特の言い回しで、等身大の心を描く。それって簡単なことじゃない。彼の曲は気取らないから朝でも夜でも聴ける。

So kiss on the mouse and set me free,
But please don't bite
『bite』

唇にキスして、そして僕を自由にして
でもどうか、噛まないで

BITE

BITE

  • トロイ・シヴァン
  • ポップ
  • ¥153

大森靖子は神様だった

大森靖子は神様だった。

息をするのも苦しかった高校時代、いつも大森靖子を聴きながら坂を登っていた。「死神」「VOID」「きもいかわ」「流星ヘブン」「マジックミラー」「君に届くな」...

「新作とかもうでなきゃいいのに 変わらない私が 古くなっていくみたい」
「笑わなくっても余裕で天使さ」
「見た目とか体裁とかどうでもいいっていって抱きしめてよ」
「助けて っつって誰もこなくても平気さ ぼくはぼくを守るもの」

親と折り合いの悪くなったわたしは、許容に飢えていて、すがれる何かを探していて、だからわたしたちをまとめて抱きしめてくれる靖子ちゃんの曲は光にも等しかった。たぶん同じような女の子はたくさんいたと思う。私だけの私を、わたしだけの可愛いを、わたしだけの生を肯定したくて、イヤホンの内側に閉じこもるようにして聴いた歌の数々。

だからZOCができた時も嬉しかった。いっそう新しいなにかが生まれるのだと思った。Family Nameは飽きるほどに聴いた。嘘だ。聴いても聴いても飽きなかった。かてぃちゃんの全身の力を振り絞るような「クッソ生きてやる」に涙がこぼれた。靖子ちゃんの音楽が変わらずそこにあった。

でもだんだん何かがおかしくなった。

family nameができる前。フィンちゃんがいなくなった。SNSで悪し様に罵るメンバーの姿にほんの少し怖くなった。フィンちゃんの孤独は孤立するのかと思った。

さやぴが辞めた。正直かばいようはないと思っている。

かなのちゃんが辞めた。靖子ちゃんのブログと、公式のお知らせに思わず顔をしかめた。かなのちゃんは「卒業」だった。それなら、裏側なんて、匂わせるべきではなかった。大森靖子という一人のアーティストと、アイドルはまったくあり方が違うのだ。アイドルは夢を与える人たちで、裏で何を思っていても、どんなに揉めていても、表には笑顔を見せるものなんじゃないか。

靖子ちゃんはTwitterをおやすみしている。Twitterはまだまだ荒れている。かなのちゃんにはストーリーの画像をもとに薬物の疑惑までかかりはじめて、西井は真偽もわからない不倫疑惑をリークされて、混沌と化している。

靖子ちゃんはファンに愛を与えてくれる人だと思っていた。その両腕で大きなものを抱きしめてくれる人だと思っていた。いつのまにか、その腕の中にはZOCしかいなくなったのかもしれない、とおもいはじめている。


たぶん神様は死んだ。

あとは夢を見るだけ

今日は1日うつらうつらしていた。どうも腹と胃の調子が悪く、自分を労ることにだけは長けているわたしなので。

今日は疲れたし、チョイと早目に
電気を消してほら今フェードアウト
目をつぶってwas good dayならあとは見るだけええ夢

罰当の『was good day』から。

was good day(Remix)

was good day(Remix)

  • 罰当
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255


今日は真実なにもしていない。寝て、起きて、食べて、腹をさすりながらネットの波に乗って、寝て、おろしハンバーグを食べた。夜ご飯のあとには2杯分のアルコールを入れたのでいい具合に気分もいい。余談だが、アルコールパッチテストを試したところ、かけらも色が変わらなくて、今まで酒のせいにしてきた全てが自分のせいだということがわかってしまって凹んだ。閑話休題

最近、うまくやれないことが増えてきた。それも、仕方ない、と思っている。仕方ないでは何も買われないのかもしれないけれど、社会に出る前に、わたしはわたしに優しくする方法を覚えたい。

しかたない、と去っていく単位を見送って、洋裁を始めてみたりしている。

ミシンを誤って捨てられてしまったようなので、手縫いで始めた。中高で仕込まれたおかげで、裁縫はけっこう得意な方だ。

心が動いたものに手を伸ばすこと、が、弱った胸の内への1番の治療法であると思う。
余談だが、こころという言葉がすこし苦手だ。使うけれども、なんとなく、胡散臭くて。