はみだしもの

1年遅れの入学式へ行った。みんな、たくさんの集団に分かれて大きな声で喋っていた。わたしはそっと人混みをすり抜けて、1人できていた女の子をナンパし連れ立って会場に入った。彼女はサークルに所属しているらしかった。わたしは所属する場所をひとつも持っていなかった。

父親が心臓疾患を抱えているから、去年はサークルは言わずもがな、バイトすらも出かけていなかった(オンラインで家庭教師をしていた)。友人と会ったのも片手で足りるほど。とにかくウィルスを拾ってこないことを徹底していた。自分の部屋の白い壁ばかりに囲まれていた。友人は増えなかったし、むしろ気軽に会えない分連絡を取れる人は減った。

今年も、わたしは基本的に外食をしないつもりでいる。昼ごはんはおにぎりかなにかを買って屋外で済ませればいいし、一昨年もよく勉強の合間に図書館に設置された休憩室で黙食をしていたからそういう食事には慣れている。古い友人に誘われれば断らないが、店は最大限気をつかって選ぶ。サークルの会食なんて行けるはずもない。

今年、どうやって人付き合いをしていくのか、ひとつも想像ができない。大学でまで、はみだしものでいる、そんな気がしている。