女子校は良かったと言う話

「もしかして女子校出身?やっぱり!だと思った!」この台詞にはいつもひっかかってしまう。女子校っぽさとは、なんだろう。わたしは中高一貫の女子校に通っていた。恋やら愛やらを巡っておこるいざこざもスクールカーストも嫌いで、選んで女子校に行った。…

邂逅の階段

兄が階段の天辺に座り込んでいた。どうやら疲れ切ってしまったらしかった。なにがそんなに疲れさせたの、ときくと、わからないという。お前の存在、なんて軽口を叩いてきたので、突き落とすよと脅した。とりあえず肩を揉んだ。肩甲骨と肩甲骨の間が張り詰め…

5月に読んだ本のまとめ

1. 時計じかけのオレンジ 新装版 2.チーズと塩と豆と 3.かもめのジョナサン 1. 時計じかけのオレンジ 新装版 映画は未鑑賞。ディストピア的な世界観と音楽によって厚みを増す主人公の悪行がまるで歌劇のようだった。 "善良"の原因さえよくわかっていないくせ…

いつかは今のさきにしかないというのに

九龍ジェネリックロマンスに出会ってしまった。とんでもなく良い。九龍ジェネリックロマンス 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)作者:眉月じゅん発売日: 2020/02/19メディア: Kindle版絵のセンス、街並み、表情、リアクション、小物、なにより繊細に伏線の…

ご休憩、おひとりさま、9時間

朝9時に起きてから9時間と少し、今日はなんにもできていない。よくこんな日がある。何をしようにもどうにも体が重くて、スマホを片手にごろりと寝転がってたまに自慰をする。そういう日に限って時間の進みはとても早くて、いつのまにか日は真上をすぎて、小…

はたち、煙草を吸う男

煙草を買った。アメリカン・スピリットのターコイズ。これまで、分煙、禁煙、副流煙について散々学校で学んできて、それでもなぜ手を出したのかはよくわからない。他人に害を与えたくはないので、人通りの少ない時間に庭で吸っている。 肺に煙を落とすのは苦…

オンライン授業についての書簡

桜が散り新緑の季節かと思えば、ここ数日は急に冷え込んでいるので、あなたの体調を心配しています。花冷えとでもいいますか、新たな生活を待ちつつ分厚いセーターを仕舞った数ヶ月前に戻ったかのような心地です。お元気でいらっしゃいますか。あなたは5月…

荻原規子さんの描く恋の話

昨日からオンラインで授業が始まった。何かが始まる時の、なんとも言えぬ高揚と緊張はいつまでたっても苦手だし慣れない。隣の部屋からボサノヴァと「こころ」の音読が聞こえてくるのどかな日曜日は腹痛と共に幕を下ろして、ここ2日ははあんまり寝られなか…

月と地球の金太郎飴/「時計じかけのオレンジ」

ところで、右耳に3個目、両耳で4個目のピアスをあけた。ピアスをあける、の、あ、が開なのか空なのかいつも迷ってしまう。穴を開ける、なので開なのだろうけど、イメージとしては空がむいている気もする。 ディムのやつだけは恒星や惑星やお月さんを、ぽかん…

日記

目の痛みと頭痛、吐き気という3点セットの体調不良に襲われることがある。1月に1回、3月に1回、今日で3度目だった。3度目ともなるとそれなりに慣れてくるのですぐさま頭痛薬を飲み、カイロを抱えて寝た。吐かなくて良かったことが今回ありがたかったところ…

モラトリアムが終わる

来週の月曜日にはオンラインで授業が始まってしまう。待ちわびた大学開始ではあるのだけれど、あまりにも長かった春休みの終わりを惜しむ気持ちもある。家から出ずに自室に篭り、なんとなく自分のことを考えて過ごしていた。かつて書いた文章を整理してデー…

生理痛が酷くなっている気がする話

もともと生理のたびに腹を壊すわ腰が痛いわ腹も痛いわと難儀な体質ではあったのだけれど、にしてもどうもこの数ヶ月生理が重くなっている気がする。 最初に気づいたのが仮面浪人中だったのでストレスかなと適当に理由付をしたのだけれどどうもそうではないら…

「PSYCHO-PASS GENESIS1」という衝撃の話

まだ1巻しか読めていないところで感想を書くのもいかがなものかとは思ったが、どうせこのブログは備忘録のようなものであるので気軽に綴ってみることにした。人の心理状態や性格的傾向を計測し数値化した「PSYCHO-PASS(サイコパス)」によって記録・管理さ…

愛することの話、「ナラタージュ」

話を聞き終えた彼は、そうかあ、となんだか一仕事終えた後のような表情を浮かべた。 「そんなふうに誰かを深く愛したことがあるなんて、俺には経験がないからうらやましいよ」 「愛していたとか、そんな大袈裟なものじゃないです。最初に会ったときなんか高…

4月に読んだ本のまとめ

鬱々としていた日も多くあまり読めなかった。本が読めないとき、嗚呼メンタルが疲れているな、と思う。アニメPSYCHO-PASSの槙島も言う通り、本を捲ることは「精神的な調律」なので、紙の本への接し方で自分の調子は分かる気がする。 1.芥川龍之介/煙草と悪魔…

善悪の再評価の話、「PSYCHO-PASS ASYLUM1」

「僕は思うんだ。悪を選んだ人間は押しつけられた善を持っている人間よりずっと人間だろう、と」 「何に価値があり、何が幸福であるか。それを決めるのは社会でも、他者でもなくーー自分自身の意志だけだ。だから、そうして選び取られたものは、どのようなも…

悠々自適な生活と隠れたストレスの話

読書、読書、昼寝、読書。たまに友人と電話をして、外で縄跳びをしてみたりして、また自室に引きこもり。 外出自粛を余儀なくされ、授業開始日を待つ大学生の1日なんてこんなものだ。徐に部屋の模様替えをしてみたりして、なかなか快適な生活だと思っていた…

ピアスという存在証明の話、「蛇にピアス」「刺青」

「スプリットタンって知ってる?」 「何?それ。分かれた舌って事?」 「そうそう。蛇とかトカゲみたいな舌。人間も、ああいう舌になれるんだよ」 金原ひとみ『蛇にピアス』 『蛇にピアス』の冒頭も冒頭、最初の1ページ目の会話だ。同書によると、舌ピアスの…

去年の誕生日の話

誕生日が好きだった。こんな歳まで生きてきて偉い、と自分を褒められるので。14の誕生日には死にたかった。毎年、生を選んできた1年を振り返り自分を褒める。また1年重ねていこうと心に決める。去年の誕生日には棘が刺さった。いまだに抜けない棘が。友人た…

亡骸を愛する話、「ELLEGARDEN」

気がつけば人に伝える言葉ばかり考えている。来月誕生日を迎える友人へのメッセージ、溜まっているLINEの返信。そんなものがくるくるくるくる脳内をかけめぐって何処かへ行ってくれない。暇さえあればくるくるくる。 多分世界と繋がりたいのだ。世界とつなが…

No title

来るべき日、みんなが外に出て社会生活を営める日に向けて、とりあえず毎日私服に着替える習慣をつけることにした。去年の12月まで受験勉強の傍らバイトに励んでいたので、毎日身嗜みを整えることをしなくなったのは1がつからでもう4ヶ月にもなる。毎朝メイ…

「YES IT'S ME」、人のファッションを笑うなという話

お化粧もスカートもヒールの靴もなんだか恥ずかしくって後ろめたくって出来なかった 女をうまく生きられなくて男の人になりたかった ヤマシタトモコ『YES IT'S ME』 レースもフリルも似合わない、男勝りな自分にはスカートよりショートパンツ、ピンクよりネ…

「君の思いは必ず実現する」、転がる石の話

稲盛和夫さんの「君の思いは必ず実現する」を拝読して、首をひねりながらキーボードを叩いている。ひとつの会社に勤め続けることは、選択肢のひとつだ。しかし、ひとつの会社に勤め続けることと、いくつもの会社を渡り歩くことは、それぞれ選択肢のひとつで…

Tinderでセフレを作る【女性編】

1. まずはまともな写真を用意します 加工はしてもSODAの30ぐらい。どうせ対面したらバレるので「写真写りがいい」の範疇に収めましょう。あまりにもくっきりとしているものは避けるが吉。身バレの可能性を減らしましょう。 2. プロフィールに「彼氏と別れて…

No title

今日こそは部屋を片付けなければ。狭い自室はすぐに散らかる。開いたままうつ伏せに置かれている本やら、ハンガーから落ちたコートやら、ひどい有様である。たぶん強盗が入っても気づかないだろう。 そして今日こそは捨てる本と残す本との腑分けをしなければ…

「ヤングアダルト」、リストカットの話

夜を越えるための唄が死なないように 手首からもう涙が流れないようにマカロニえんぴつ「ヤングアダルト」 一度だけ手首を切った。たしか親と言い争った日だった。たぶん高校生か中学の終わりで、中学一年性の希死念慮に囚われていたときのことを「頭がおか…

「」、今読んでいる本の話

どうにもここ数日書きたいことがない。本一冊を読み終わるにはだいたい1時間から1時間半ぐらいかかる。今野敏ならもう少し早いし、ジョージ・オーウェルならもっと遅い。けれど基本は1時間前後。といっても、まとまった時間が取れる時以外一冊の本を読み…

「夜はおしまい」、女という性の話

「どうしてあなたたちは、自分の体を誰かの好きにさせてはいけないのか」「世の中から一方的に押し付けられた考えではなく、自らの頭でじっくり考えたことはありますか?」「なにより、そう決めつけなければ、誰もあなたたちを守らなくなるからです」島本理…

「キッチン」、健全という暴力の話

宗太郎は笑った。とても背が高いので、いつも見上げる形になった。この子だったらきっとーー私は横顔を見ながら考えた。きっと、ばりばり私を引っぱり回して新しいアパートを決めさせたり、学校へ引っぱり出したりしたんだろう。 それ、その健全さがとても好…

「スロウハイツの神様」、食事という自愛の話

1日ひとつ文章を書こうと思っているのに、今日はなんだか筆が乗らない。昨晩はビーフシチューを作った。よく炒めたたまねぎに、大きく切ったステーキ用の牛肉、にんじん、茄子、じゃがいもとトマト缶。持病持ちの家族に配慮した塩分控えめの出来上がりは満足…